93年の春
プロ野球選手として、私も
誰でも経験する新人時代の
困難を経験し、辛いひと時を過ごしていた。
先輩の負傷で
試合へ出場する機会が与えられ、
開幕以来、2試合連続の主力として
打席に立つようになった。
しかし、やはり新人たちは心の余裕がないからか、
7度の機会にも、一度も出塁できなかったので、
プロ選手として
自尊心が傷ついた。
そしてプロ野球のグラウンドは、勝者だけが生き残ることができる
本当に戦場のようだった。
チーム内の主力競争もしなければならないし、
相手チームの投手とも戦わなければならないので、
新人選手として、
索漠とした勝負の世界で生き残るという
本当に難しく、毎日緊張の連続だった。
二試合をしたところ、
目が回った。
私がその時なぜそうしたのだろうか、
自分自分が嫌いになった。
眠ることができず、煩悶の連続だった
次の日は休日だったので、
久しぶりに月明洞にいらっしゃる先生を訪ねて行った。
さすが、先生は前山の岩の造景の作業を終えて、
生家の庭で弟子たちと談笑中だった。
その時、私の状況を申し上げたところ
神様も先生もあなたと共にするから、攻撃的にしなさいと
答えを下さった。
力を受けて、その翌日、試合に臨んだ先生のコーチを受けたから、
緊張感も消え、自信満々に投手を見つめた。
バッターボックスに入ったが、
昨日、先生がおっしゃった言葉が耳もとではっきりと聞こえてきた。
「攻撃しなさい。」
その時、投手は私の体の方、深いコースにボールを刺し込み、
先生のコーチ通りに、攻撃的に、果敢にバットを振った。
ボールは真っ黒な夜空に遠く遠く飛んでいった。
本塁打だった。
私はグラウンドを回りながら、
神様、神様、ありがとうございます!
と大声をあげた。
プロ野球選手になって
初安打であり、初本塁打を打ったのだから
本当に嬉しかった。
翌日の新聞に私のホームランに関して記事が出た。
試合後のインタビュー内容 神様が私の願いを聞いてくださった、と。。
翌日、先生を訪ねて行き、ホームランを打ったことを知らせ、
スランプから抜け出したと伝えたら、本当に喜ばれながら、
「野球も、人生も、攻撃してこそ、成功する」
とおっしゃった。
攻撃しなければ、攻撃される、
という先生の御言葉が、今日、この夜明けに私の精神と肉体を起こし、
体に伝わってくる。
さあ、今日も一日が始まる。
プレイボール!